【フットサル x ビジネス】「目標 – 戦略 – 戦術 – 実行(施策)」という階層構造の違いをフットサルは理解しているか?今村健一郎

2020年3月15日

先日、湘南ベルマーレ第2監督の村松さんから、2020.1.1 の彼の投稿に関して、ビジネスの観点から解釈をして欲しいとのお話を頂戴したので、「フットサル × ビジネス」という観点で話を展開していこうと思う。

元ネタはこちら↓
「‪創造力あふれるプレーとは ?ゲームのモデルが創造的プレーには必要‬」
https://bar-futsal.com/2020/01/01/post-4333/

背景・共通認識

「創造力あふれるプレーとは?」について話すに当たって、議論の対象とするチーム/プレーヤーが何を目的としているか?という点を決めておくことが実は重要だと思います。

1.「楽しむ」が目的
2.「勝利」が目的

  • 前者はサークル、後者は部活。
  • ヘッドスライディングパスは創造力溢れるプレー。観てて面白い。
  • 中田英寿のキラーパスは、勝利への近道という意味で創造力溢れるプレー。ワクワクする。
  • 村松さんの所属チームと私の所属企業の共通項は、フィールドは違えど「No.1」を目指す組織体であるという共通項なので、2. を目的として、文章を展開していきます。

「創造力あふれるプレー」とは?

村松さんの記事では、「創造力あふれるプレー」という言葉に関して、日本の指導現場で使われる場合の「創造力」という言葉とスペインで使われている言葉の意味(参考文献としては『¿Qué es la “Periodización Táctica”?』)を対比させており考え方の違いをクリアにしています。

まず、前提となる言葉定義として、「柔軟思考」「テクニック」を以下の様に定めています。

「柔軟な思考」:いかに情報を仕入れて主体性を持ってプレーを決めていけるか
「テクニック」:それは決めたプレーを行うための技術が最低限あれば良い、もしくは決めるための選択肢として技術の能力があれば良い。(テクニックとは日本語で技術ですが、特別なイメージが付いてしまっている)

日本の場合、以下の様な言葉がよく言われるらしいです。

「育成年代のうちに創造力を養おう」「小学生に創造力あふれるプレーを」
「子どものうちは戦術に当て込まないで自由にプレーさせることが大切」「戦術は大人になってからでいい」

これはつまり、村松さん自身も同様の考えの時もあった様ですが、「日本:創造力のあふれるプレー = 柔軟思考 x テクニック」という考えの指導者が多いのかなと理解しました。

スペインの場合、村松さんの解釈だと以下ということの様です。

「創造力溢れるプレーには「ゲームのモデル」が必要ということです。「ゲームのモデル」とは、そのチームの戦術の集合体です。ということは、創造力溢れるプレーには戦術が必要ということです。「戦術は駆引き」なので、相手なしの練習では磨かれません。要は、テクニックは直接的には関係していないということです。」

ここからは私の解釈ですが、「スペイン:創造力のあふれるプレー = 柔軟思考 x ゲームのモデル」により、基本的な組織戦術という規範を打ち壊して、ゴールに直結する本質的なプレーを見出して選択することが、「創造力のあふれるプレー」ということなのだろうなと感じました。

ビジネス観点を踏まえると

ビジネスでは、一番最短のスパンだと1つの事業での年間目標を決めると思います。その際、「今期目標 – 部署戦略 – 現場の戦術 – 日々の行動」という様な階層で整理します。

ビジネスではフットサルのチームよりも組織構造が複雑なので、各組織間の連携も含めて、組織の連動性を「部署戦略」で擦り合わせる側面があるため、ビジネスとフットサルチームという対比で見る場合、「現場の戦術 – 日々の行動」という点の比較で見ると面白いと思います。

そして、日本とスペインの「創造力あふれるプレー」の話は、一言で言うと「視座の違い」だと思います。フットサルの上記話を、ビジネスに置き換えると、

日本:「日々の行動において「創造力あふれるプレー」を求めている」

・現場の営業部でどの様な戦術でお客様を訪問するかについての統一性は持たせるのは後回しにして、各営業マンのひらめきでがむしゃらに訪問頑張れ!

・創造力あふれるプレーの例:田町駅あたりにはテナントが入っているビルが一杯あるから、1日で多くのお客様に回れるぞ!

スペイン:「現場の戦術において「創造力あふれるプレー」を求めている」

・現場の戦術は「前期の売上がXX億円以上かつ直近3ヶ月未訪問の既存顧客は漏らさず訪問しよう!」と言う風になっていることを皆が把握して活動している。

・創造力あふれるプレーの例:既存客からの紹介客は受注率が高いことがわかったので、前期売上がXX億円行ってなくても優先的に訪問することにしました。

という様な感じかもしれません。

前提として、「創造力のあふれるプレー」は「今期目標(収益YY億円)」にミートするプレーである必要があるし、そのためには「日々の行動」だけを見て工夫していてもゴール(今期目標)に直結しないプレーが多く生まれてしまいます。

視座を上げて、「現場の戦術」はあくまで組織全体に浸透している上で、かつ「現場の戦術」を超えていくような「守・破・離」のスタイルで「創造力あふれるプレー」により、さらに収益を上げる様なものこそ評価されるべき、その様にスペインのスタイルは定義されているのかなと感じました。

総括

日本とスペインのフットサルの違いは、「組織の目標を達成する」ということに対して、ビジネスと同様に「目標 – 戦略 – 戦術 – 実行(施策)」という階層構造の違いをしっかりと理解しているか?の違いによるところが多いと感じます。

1つ1つのプレーは「実行(施策)」部分の積み重ねである点は変わりませんが、逆算思考で、目標につながる様な戦略をたて、それを実行する組織戦術をつくり、そこまでを見越した上で1つ1つのプレーを意識して行い、しっかりと振り返りをできているか?

ビジネスと同様にフットサルも「組織での活動」であるため、各レイヤーに応じた 計画-実行-確認-再実行 (PDCA) のループを仕組みとして作り上げることが重要だなと感じます。

筆者:今村健一郎
・昔、ロンドリーナにいました。
・その後、「フットサル × IT」をテーマに大学院で研究をしておりました。
・チームワークを探求したくサイボウズに入社し、より高みを目指して現在の企業に至ります。